What's British Style?
英国式トレーニングとは・・・本音と想い
私は2009年からイギリスと日本にて犬に関わる事を学び始めました。イギリスでは1人のドッグトレーナーの元で住み込み弟子入りをするという貴重な体験をさせてもらいました。
イギリス滞在中には彼女の他にも複数の英国人ドッグトレーナーのワークショップやセミナーに参加してきました。
日本では主に小型犬を対象に犬の幼稚園という環境の中トレーニングをした経験があります。これまでの間日本でも「英国式のドッグトレーニング」という看板を何度か見かけた事があります。そして時には私の事を「英国式のドッグトレーニングを扱うドッグトレーナー」と言われたことも。しかし私の経験は日本とイギリスどちらにもあるのです。
そこで私にとって「英国式」とはなんだろうというところにたどり着きました。
日本でもイギリスでも共通して犬のトレーニングのやり方は様々です。
チョークチェーンを使った強制方式や嫌悪を与えるやり方、
クリッカーやご褒美をつかった陽性強化のトレーニング方法、
また同じドッグトレーナーさんでも各犬・各飼い主さんによりアプローチやアドバイスの仕方が変える事があります。
ただ師匠が英国人であるゆえにそれを「英国式」と呼ぶ事が一般的なのでしょう。
私が師匠から多く学んだことのひとつは
「Dogs are the Best Teacher~犬があなたの最良の先生である~」
ということです。
◇犬を理解し、何がその犬に適している方法かを見極める。
◇こちらが犬にどのようなアプローチするかによって犬反応はどう変わるか。
◇その後こちらが望む行動を継続して引き出す事が出来ているだろうか。
犬と人間のあいだに共通言語はありません。はじめ犬は日本語も英語も理解できません。
人間が「おすわり・来い・つけ」などの言葉を発し動作を犬が理解するのは、
人間の発する言葉に対し犬が動きを取ったその直後に何が起こるかで言葉と動作を結びつけていきます。
「“おすわり”と言われてお尻を床につけたら美味しいおやつがもらえた」
「“来い”と言われて飼い主さんの方に近寄って行ったらたくさん撫でてもらえた」
犬は人間の行動をよく観察して学習をしています。
言葉が理解できないと他の感覚を研ぎ澄まし相手の気持ちを読み取ろうとするその犬の姿勢は英国を始めて訪れて、現地の方々の言葉がほとんど理解できなかった私に通じるところが多くあります。言葉が理解できなくても話している相手の笑顔や勇気づけられる言葉たちは私の支えでした。
あの時、強い口調で何度も同じことを繰り返して言われたり、間違えて怒られてばかりいたら私は自信をなくし人とのコミュニケーションを途絶えていたかもしれません。残念ながら私たち人間はこのような態度を犬に対して頻繁にとってしまいます。
「言葉が通じなくても交わせるコミュニケーションから築く信頼関係や共に楽しむ方法」私にとっての英国式の原点はそこにあります。
また多くのイギリス人は犬が欲しいと思った時にショーウィンドウに入った子犬を衝動買いではなく、成犬時の大きさ・姿、その犬種の特徴や運動量を理解し自分のライフスタイルと照らし合わせて、ブリーダーから仔犬を譲ってもらいます。
多くのブリーダーは「この人には信頼できない」と思えば、子犬を譲りません。
イギリスは日本に比べて犬がオフリードで運動が出来る環境が多く存在します。
犬を連れて入れるパブやカフェや宿泊施設が多く存在します。
ほとんどの動物病院や多くの街の会館ではパピークラスやトレーニングクラスが行われていて、そして英国ケンネルクラブを軸にドッグショーやドッグスポーツが盛んなため
「犬との暮らしを楽しむためのより一層高いレベルのトレーニング」
を楽しむ愛犬家が多く存在するのです。
「犬が大きくなったらオフリードで走り回らせたい」
「一緒に連れて旅行に行きたい」と飼い主さんが高い志が持てる環境があるため、
【犬を飼ったら暮らしを共にするルールやマナーを身につけさせたい、そして多くの楽しみを共に味わいたい=トレーニングをする】という飼い主さんの根付けができやすいのです。
犬との暮らしを楽しむためのトレーニングを飼い主さんに提供する事が私にとっての【英国式】ではないかと想います。
【Mighty Canine Campus】
磯野麻衣子